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こどもの心を守ろう!!ブログ
こどもを責めないでください。 そのことをきちんと教わっていないのですから。 親を責めないでください。 誰よりも苦しんでいるのですから。 教育、子育てを応援するブログ。

プロフィール

千葉孝司

Author:千葉孝司
ピンクシャツデーとかち実行委員会
発起人代表
十勝ライフスキル教育研究会代表
著書
教師力ハンドブックシリーズ「不登校指導入門」明治図書2014
「いじめは絶対ゆるさない 現場での対応から予防まで」学事出版 2013
「先生と親に贈る いじめ・不登校解決のメッセージ」学事出版2007
共著
教師力シリーズ「THE説得~生徒指導編」「THE説得~学級指導編」明治図書2015
メディア出演 TBSニュース23 等



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教師力シリーズの新刊2冊の中に執筆しています。
他の人たちが、どういう切り口で書いているのか。共著ならではの楽しみを感じます。
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気にし過ぎで敏感な人たち

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十勝毎日新聞2015.4.20
 気にし過ぎで敏感な人たち 
「私の気にし過ぎでしょうか?」
 インターネット上の相談室には、こんな言葉が氾濫している。「気にすることはありません」と回答されても、問題は解決しない。どうしても気になってしまうから相談しているのだ。
 そんな気にし過ぎで困っている人の中にHSPが存在していると言われている。HSPとはハイリー・センシティブ・パーソンの略で「極度に敏感な人」とでもいった意味である。これは病気ではなく、アメリカの心理学者エレイン・N・アーロン博士が提唱している気質だ。5人に1人が持っていると言われている。普通の人が気にならないような音や匂い、服の肌触りなどにも耐えられない。人の気持ちにも非常に敏感といった特性を持ち、直観力や創造性にも優れている。その対応については、苑田純子著「敏感過ぎて困っている自分の対処法」に詳述されている。ちなみにこの本は、北海道立緑ヶ丘病院の長沼睦雄医長が推薦文を書かれている。
 子どもの中には、自分ではなく他の子どもが教師に叱られたことで、学校に行けなくなる場合もある。周りが自分のことをどう思っているか気になって家から出られない子どももいる。そういった子どもの中には、HSPの気質を持ったHSC(ハイリー・センシティブ・チャイルド)も多くいるであろう。そんな子どもたちを支援するためには、気持ちを受け止め肯定していくことが求められる。
 多くの大人も思春期に「自分は周りからどう思われているのだろうか」を気にして悩んだことだろう。思春期には同調性が高まり、他から浮き上がることをおそれるからだ。その結果、周りの目を過剰に意識して気疲れしてしまう。「自分は自分」とマイペースでいられれば楽ではあるが、そう開き直るには、自尊感情の高さが必要だ。ありのままの自分を丸ごと受け入れられれば自尊感情も高まる。しかしそうならない現実が生きにくさを助長する。
 ところで極度に敏感な気質を持った人が存在するのはなぜであろうか。それは生物の生存戦略であるそうだ。生物は、一定の割合で敏感な気質を持った個体がいることで、危険を察知し生き延び続けてきたのである。全ての個体が楽観的であったり、鈍感であったりすれば生物は滅びてしまう。
 つまり気にし過ぎで敏感な人の存在を、社会は本来受け入れるべきものなのである。敏感な人の持つ脆弱さではなく、芸術性の高さなどの強みに目を向け、その個性を受け容れていきたいものだ。気にし過ぎで悩んでいる人は、「私のような人がいるから人類は滅んでいないのだ」と胸をはってはどうだろう。